投資信託セレクション NISA特別版

 

2人の将来のために、NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)で積み立て投資を始めようと決めたファン子ちゃんとファン太くん。その1週間後、何に投資するかなかなか決められない優柔不断なファン太くんと、投資も結婚も早く決めたいファン子ちゃんが、NISAとiDeCoでどんな投資信託を買うべきかを話し合いました。
非課税枠の再利用ができないNISA 資産配分を変更できるiDeCo

ファン子ちゃん あれから1週間が過ぎたけど、ファン太はNISAとiDeCoでどの投資信託で積み立て投資するか、まだ迷ってるの?

ファン太くん 僕たちの将来を左右するかもしれない決断なんだよ。慎重になるなと言う方が無理だよ。ファン子はもう決まった?

ファン子ちゃん 私はファン太の意見を聞いてから考えるから、先に決めてくれないと困るの!

ファン太くん 相変わらず自分勝手だなぁ。でも確かにファン子の言う通り迷っていても仕方ない。できればきょう決めてしまいたいから、NISAとiDeCoの特徴について改めて確認してみるよ。iDeCoの掛け金(拠出金額)と、運用できる商品の違いについてはこの前ファン子が教えてくれたよね。

ファン子ちゃん うん。まずNISAの非課税投資枠は年間120万円に対してiDeCoの掛け金はこれより少ないわ。それに購入できる投資信託もNISAとiDeCoではかなり違うんだよね。あとNISAの非課税期間は今のところ5年が限度だけど、iDeCoは契約者が60歳になるまで非課税で運用できる! 60歳になるまで原則としてお金を引き出せないのはちょっと不便だけど。

ファン太くん そうだね。実はもう一つ、両者には大きな違いがある。iDeCoは「スイッチング」ができるんだ。

ファン子ちゃん スイッチング?

ファン太くん スイッチングとは今まで保有していた金融商品を売却して、そのお金で別の商品を購入することなんだ。NISAの場合は購入した投資信託を売却したら、その分は非課税投資枠として再利用できないけれど、iDeCoでは運用期間中は自由に売買できるんだよ。スイッチングの場合、売却と購入の申し込みがほぼ同時にできる点で、機動的だと思う(※)。

※スイッチングの手続き後、売却・購入が完了するまでの日数は金融機関によって異なりますが、通常は3〜8営業日程度かかります。

1年ごとに区切りがあるNISAは 運用状況と市場動向を確認できる機会

ファン子ちゃん 言われてみれば、確かに大きな違いだよね。でもiDeCoは超長期で運用するわけだから途中で資産配分を変更したり、売却したりしない方が良さそうな気がするけど。

ファン太くん 確かにファン子の言う通り20年、30年という長期で運用する場合、60歳になった時点で利益が出ていればいい。だから短期的な値動きは無視しても構わないという考え方もある。だけど、投資した時点での予想に対して、市場が変化するのはよくあることだろう。市場動向の変化に合わせて投資信託も組み替えないと、時代遅れの運用方法になってしまうことも考えられるんだ。
 例えば、株式市場が好調なときに株式型の投資信託を一部売却する。そのお金はいったん元本保証型や債券タイプの商品に移しておいて、株価が下がったときに同じ投資信託を買い直せば、保有し続けた場合より利益を大きくできるんだ。

ファン子ちゃん 理屈としては分かるけど、それをするためには普段から世界経済の動向をチェックしておく必要があるのよね。

ファン太くん だからiDeCoだけでなく、NISAも活用することが大切なんだよ。NISAは1年ごとに区切りがあって、120万円の非課税投資枠を使って何に投資するかを毎年自分で決める必要がある。だから、その際は自分の運用状況とマーケット動向を確認することが必要なんだ。世界経済は好況なのか不況なのか。金利の先行きはどうなりそうか。その結果、保有している投資信託がどう値動きしたのか。NISAでもiDeCoでも世界の株式や債券などに投資するなら、世界経済がどうなっているかある程度は知っておきたいよね。

ファン子ちゃん iDeCoよりもNISAの方が商品の選択肢は多いし、5年以内に利益が出ればいいという“攻め”の積み立て投資ができるのはNISAの強みね。そうした点を踏まえて有効活用していきたいものね。

「攻め」と「守り」で役割分担しながら 2人で運用するという考え方

ファン子ちゃん ところで、ファン太は何に投資するか決まったの?

ファン太くん ファン子と話してて、ようやく固まってきたよ。iDeCoでは、株式50%、債券30%、REIT(不動産投資信託)20%という、積極的に収益を狙える配分にしようと思う。さっきも言った通りiDeCoはスイッチングができるから、株価が大きく上がったり下がったりした場合は、資産構成を変えてしまえばいい。長期投資では運用手数料をなるべく低く抑えたいから、投資先は市場平均に連動するインデックス型の投資信託がいいかな。そしてNISAでは、iDeCoでは扱っていない新興国の株式や債券、先進国のセクター別の株式など今まさに調子が良さそうな分野のアクティブ型ファンドに投資したい。5年間という期限があるからこそ、5年以内に利益が出ればいい、ある程度利益が出たら売却して別の投資信託を買えばいいという考え方でいきたい。

ファン子ちゃん ファン太が“攻め”なら、私は“守り”を重視した慎重な運用をするのが良さそう。やっぱりiDeCoではあまり資産配分を変えずにのんびり増やしていきたいわ。株式は3割程度にして残りを債券とREITなどで運用しようかな。NISAでも新興国株式のように長期投資することで利益が見込めるタイプと、先進国の債券のような比較的値動きが安定したタイプの投資信託に投資しようと思うけど、どう思う?

ファン太くん 僕の考え方とは違うけど、そういう方針もいいと思う。ひとつの財布を性格の違う人同士で分け合って積み立て投資をすれば、片方がうまくいかなくても、もう片方の運用で補えるかもしれない。これもひとつの分散投資だよね。

ファン子ちゃん お互いが補い合うのは夫婦生活も同じね。私たちまだ結婚してないけど……。なかなか日取りが決まらないのは優柔不断な誰かさんのせいかしら?

第10回「投資するならインデックス型? アクティブ型?」に続く

監修:畠中雅子さん(ファイナンシャル・プランナー)

イラスト:つぼいひろき

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