投資信託セレクション NISA特別版

 

なかなか結婚に踏み切れないファン太くんとファン子ちゃんのもとに、友達のつみ夫くんが結婚の報告にやって来ました。つみ夫くんは将来のために資産運用を本格的に始めたいと、投資に詳しいファン太くんにアドバイスを求めています。これまでのNISA(少額投資非課税制度)に加えて、2018年1月からは新たに「つみたてNISA」が始まります。結婚する2人に向けて、ファン太くんは2つのNISAを活用した資産運用を提案します。
非課税期間はNISAより長い20年 2037年まで移管手続きの必要なし

ファン太くん そうか、昔はあんなにお調子者だったつみ夫がついに身を固めるのか。最初聞いたときは耳を疑ったよ。僕より先に結婚するなんて。

つみ夫くん (ファン太くんの学生時代の友人)
たて美を紹介してくれたことは感謝するよ。ファン太の会社の後輩なのに、君と違って真面目な性格で、年下だけど頼れる存在なんだ。

ファン太くん へえ、それは意外だなぁ。たて美さんは先週、仕事でミスをして課長に怒られたばかりなのに。

たて美さん ファン太さん、ここでその話はやめてくださいよ!

ファン子ちゃん もう、後輩をからかっちゃだめでしょ。ところでつみ夫さん、私たちに相談って何かしら?

つみ夫くん この前、たて美と銀行へ行ったときに、2018年から「つみたてNISA」が始まると銀行員さんに紹介されたんだ。そのときは忙しくてほとんど話を聞かずに帰ってしまったけれど、あれからつみたてNISAのことがずっと気になっていたんだよ。僕たちの将来のために、お金のことを真剣に考えたいなって。

たて美さん ファン太さんは投資に詳しくて、会社ではいつも自分が買った株式や投資信託が値上がりしたことを自慢しているから、つみたてNISAについてもいつもの調子で詳しく教えてもらおうと思ったんです。

ファン太くん たて美さんの言い方が少し引っかかるけど(苦笑)。せっかくおめでたい報告を受けたから、お祝い代わりに教えてあげるよ。つみ夫はNISAについては知ってるよね?

つみ夫くん もちろん。年間120万円を上限に、投資信託などに投資して得られた利益が非課税になる制度だよね。非課税で運用できる期間は5年間だったっけ。

ファン太くん その通り。18年1月からスタートするつみたてNISAは、投資の収益が非課税になる点や、一度売却したら非課税投資枠の再利用ができない点は従来のNISAと同じだけど、1年間で投資できる上限額は40万円で、NISAと比べるとずいぶん少ないんだよね。その代わり、非課税期間は20年と、長期での運用を想定した設計になっているんだ

ファン子ちゃん 従来のNISAでは、14年に購入した投資信託などは18年末に非課税期間が終わるから、そのまま特定口座や一般口座に移すか、19年分のNISA口座で運用するかを選ばなければいけないのよね。運用で利益が出て評価額が120万円を超えていたら、超過分をNISA口座に移管できないのは悩ましいところ……。つみたてNISAの場合、そうした手続きが2037年まで発生しないのは便利だよね。

2つのNISAは同時に使えない 「夫婦で使い分け」も有効

つみ夫くん 僕は17年からNISA口座で投資を始めたけれど、つみたてNISAが始まったら、今までのNISA120万円とつみたてNISAの40万円を合わせて、最大で年間160万円まで非課税で投資できることになるんだよね。

ファン太くん 残念だけどそうじゃないんだ。従来のNISAとつみたてNISAは同じ年に併用できない。つまり、つみたてNISAを始めると、従来のNISA口座では新たに投資できなくなるんだよ。

たて美さん 私は投資未経験なんですけど、どちらを選べばいいんですか?

ファン太くん 運用の目的や家計の事情によるから、一概には言えないんだけど、いずれにしても、従来のNISAとつみたてNISAの違いは押さえておく必要はあるよね。両者の最大の違いは、利用できる投資信託のラインアップなんだ。NISAは、銀行や証券会社などで扱うすべての投資信託や国内株式などが対象だけど、つみたてNISAで運用できるのは、金融庁の要件を満たした投資信託に限られる。

つみ夫くん 要件って?

ファン太くん 長くなるから詳細は省くけど、共通しているのは運用時の手数料が安いこと。例えば40万円を20年間運用して、年平均3%の利益が出たとすると、信託報酬が年間0.1%違うだけで最終的な収益に1万円以上の差が生じるから、とても重要なことなんだ。今のところ、つみたてNISA対象ファンドのほとんどが国内外の株式に投資するインデックスファンド、つまり株価平均に連動するタイプと、株式・債券・不動産など幅広い資産に投資するバランス型のインデックスファンド。このほか、継続的に良好な実績をあげているアクティブ型の株式ファンドもいくつか対象となっている。

つみ夫くん つみたてNISAは、比較的堅実な運用が期待できて、なおかつコストも安いファンドが対象なんだね。確かに20年間ずっと売却せずに持ち続けることを考えたら、堅実さは大切だと思う。でも、今までのように短期間でも値上がりが期待できるファンドにも投資してみたい。悩むなぁ。

ファン子ちゃん 夫婦になるんだったら、つみ夫さんはこれまで通りNISAを使って、たて美ちゃんはつみたてNISAで投資を始めてみるのもいいと思うよ。

つみ夫くん それだ!

運用中に商品を変更できるiDeCoと いつでも換金できるつみたてNISAを併用する

ファン子ちゃん ところでたて美ちゃんは、結婚後も仕事を続けるの?

たて美さん 続けようと思っていたけれど、つみ夫がもうすぐ転勤になりそうだから、いったん会社を辞めることにしました。上司にはもう伝えました。

ファン太くん えっ、今初めて聞いたんだけど……。

ファン子ちゃん 専業主婦になった場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)で積み立てられるのが、年間で27万6千円、月額2万3千円になるわよね。iDeCoもNISAと同じく、投資で得られた利益が非課税になる制度だから、つみたてNISAといっしょにうまく使うといいかもね。

ファン太くん つみ夫は会社の企業年金に加入しているから、iDeCoの拠出限度額は月1万2千円だよね。iDeCoは様々な税制上のメリットがあるし、つみたてNISAと違って運用中に投資信託の変更ができるから、たて美さんにiDeCoを活用してもらうのもいいと思う。ただ、専業主婦の場合は節税効果がないのと、原則として60歳になるまでお金を引き出せないiDeCoだけで運用するのも考えもので、いざというときに換金できるつみたてNISAも併用するのがいいと思うよ。

ファン子ちゃん iDeCoも、つみたてNISAほどではないにしろ対象ファンドが限られているから、より高い収益を狙いたいときは従来のNISAを使うと良さそう。

ファン太くん まとめると、つみ夫はNISA口座で年3~4%の収益を目指して、ややハイリスクなファンドも織り交ぜながら運用する。たて美さんはつみたてNISAとiDeCoを活用して年2%前後の収益を目標に、堅実さを重視した投資をする。我ながらいい提案だと思うよ。

つみ夫くん ファン太は投資のことだとすごく頼りになるんだな。これだけしっかりしているように見えるのに、いまだに結婚に踏み切れないのが不思議だよ。

ファン子ちゃん 本当。もっと言ってあげて!

第12回「株価上昇局面における投信の見直しのポイント」に続く

監修:畠中雅子さん(ファイナンシャル・プランナー)

イラスト:つぼいひろき

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