投資信託セレクション

第39回コラム長期・分散・積立投資が手軽にできるロボアド社会構造の変化にも対応できる資産形成術
 千葉商科大学 人間社会学部 教授 伊藤 宏一氏

質問の答えでリスク許容度を判定 ユーザーごとに適した資産配分を提案

約6000本ある投資信託から、自分に適したファンドを選ぶのはとても難しいことです。コンピューターがファンドを自動的に紹介してくれる「ロボアドバイザー(ロボアド)」は、これから投資を始めようとする方々にとって役立つサービスです。ロボアドは、コンピューターのアルゴリズム(計算手法)に基づいて資産運用のアドバイスを行います。2007年ごろに米国で発祥し、日本では14年ごろから金融とITを融合させたフィンテック企業や銀行、証券会社などが、インターネットやスマートフォンのアプリケーションを通じてサービスを提供しています。

一般的なロボアドでは、ユーザーが「年齢」や「年収」「希望する毎月の積立投資額」などの質問に答えると、その人がどれくらいの損失まで耐えられるかを示す「リスク許容度」を判定し、ユーザーごとに適した資産配分(ポートフォリオ)を提案します。これまで、投資を始めるには手続きをして口座を開設した後、どのような商品に投資するか考えて実際に決めて購入するという壁が存在しました。提案までを数分で行うロボアドは、投資をスタートするまでのハードルを低くして、個人が手軽に投資を始められるというメリットをもたらしてくれます。これが最大の魅力です。

ロボアドには「投資一任型」と「アドバイス型」の2種類があります。投資一任型は、ロボアドが提案した戦略に合わせて運用までを自動的に行います。一方、アドバイス型は、ポートフォリオの提案のみに徹し、投資対象の売買やリバランス(資産配分の再調整)は自分自身で行います。投資経験者は、資産配分の提案を参考にしながら自分で投資先を選ぶアドバイス型を利用するのも1つの方法です。投資対象商品を選ぶことが難しいと感じる投資初心者や未経験者は、運用までを行ってくれる投資一任型が有力な選択肢になるでしょう。

 

運用開始前にプロのアドバイザーへ相談 最低投資金額、手数料、品ぞろえなどから選ぶ

ロボアドで提案される金融商品は、ほとんどが投資信託もしくは上場投資信託(ETF)です。投資一任型はETFで運用を行うことが多く、アドバイス型は投資信託およびETFで運用します。投資信託は、購入時手数料が無料で運用管理費用が比較的低いインデックス型が主な対象となっています。どちらのサービスでも、国内外の株式や債券、不動産投資信託(REIT)などの複数の資産に分散投資し、資産の値動きを抑えながら収益の最大化を目指します。

ロボアドサービスを選ぶ場合は、「最低投資金額はいくらか」「手数料の水準は妥当か」「投資対象商品の品ぞろえが豊富か」「リバランスをやってくれるか」「運用状況を手軽に確認できる仕組みがあるか」「市況に関するアドバイスが得られるか」「運用の途中でポートフォリオを変更することができるか」などの視点から選ぶといいでしょう。運用を始める前に、中立的なファイナンシャルプランナーなど、お金に関するアドバイスをしてくれるプロのアドバイザーに相談すると、より自分に合ったサービスや投資対象商品の選択につながります。

新たなスキルを身に付ける教育資金が必要に 長期の資産形成は極めて重要

労働市場調査などを行うリクルートワークス研究所は、テクノロジーの進歩が加速する社会ではビジネス環境のスピードが増して企業寿命が短くなる一方、長寿化によって高齢者の雇用促進が進む社会が到来すると予想しています。具体的には「職業寿命50年、企業寿命25年」の世の中です。職業寿命が企業寿命の2倍になることで、これまでのように1社でキャリアを完結する働き方が困難になる点を指摘しています。今後の職業生活の中では、これまでと全く違う業種や職種に転じて働く可能性もあります。

これからは「人的資産」を形成することが重要です。こうしたタイミングが来たら、大学の学部や大学院、あるいは海外などで新たなスキルを身に付けるために、就職後もある程度の教育資金を準備しておく必要があります。この意味でも、長期の資産形成は極めて重要です。長期・分散・積立投資が手軽に行えるロボアドの活用は、大きく変化する社会構造にも対応できる資産形成術といえるのではないでしょうか。

特に現在の20〜30代の方々は、“人生100年時代”で引退後の生活が長くなるだけではありません。「教育→仕事→引退」という画一的な生活設計をライフプランとしていた現在の60代以上の方々、自己責任に基づく多様な生活設計がライフプランに求められている現在の40〜50代の方々とは、大きく異なるライフプランを選択することになるでしょう。このため、なるべく若い時期から、少額でも構わないので投資を始めてもらいたいと思います。

ある程度投資を経験すると、様々な銘柄を自分で売買して利益を出したいと考えることが少なくありません。ただ、これを始めると日々の経済環境や市場動向を追いかけることになり、時間がいくらあっても足りません。最初に決めた運用プランを長期間継続でき、しかも資産運用とある程度距離を置ける“仕掛け”にしておけば、自分のスキルアップに「時間資産」も配分することができます。こうした実践において、ロボアドの活用は有益だと思います。

 

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