投資信託セレクション

第38回コラム国内サービス業の動向が内需株見直しの契機に変革を目指す日本企業を選別する
 農林中金総合研究所 調査第二部 副部長 主席研究員 南 武志氏

世界的なリスク選好は2018年も続く

財務省が発表した2017年11月の貿易統計速報(通関ベース)によると、日本の輸出額は、12カ月連続で前年同月を上回りました。中国を中心としたアジア向けの輸出が主な要因です。米国では税制改正法案が可決され、好調な景気がさらに加速する可能性があります。海外の景気は、北朝鮮の地政学リスクや中国経済などの不安定要因を抱えているものの、景気を失速させる決定的な材料はそれほど多くないと思います。世界的な「リスクオン(リスク選好)」の流れは、18年も続くと考えています。

国内経済は、19年10月に予定されている消費増税の前後で多少のブレも予想されますが、東京五輪が中心となってけん引し、堅調に推移すると思います。18年4月に任期満了を迎える日銀の黒田東彦総裁の後任人事についても、現状の路線を継承する人選が行われると考えられており、引き続き金融緩和による経済の下支え効果が期待されます。

適正な対価が取られていない企業と個人、企業間のサービス

足元の日本株相場は17年10月に16営業日連続で日経平均株価が上昇、今年に入っても大発会で700円超の大幅高になるなど、好調を維持しています。日本株の売買の6割以上を占める外国人投資家も、衆院選で与党が大勝したことを好感し、日本株市場に注目しています。これまでは半導体などのハイテク株を中心に買われていましたが、今後、さらに日経平均株価が上昇するには、これまで出遅れ感があった内需関連株などが見直され投資家に買われる必要があります。投資家が内需関連株を見直すきっかけの1つになると考えているのが、サービス業の動向です。

サービス業において価格を左右する主な要因は人件費です。これまでの日本では、デフレの影響もあって企業利益を圧迫する人件費が削られてきました。また企業と個人の間だけでなく、企業間においてもサービスの対価がほとんど取られていませんでした。しかし、労働需給が逼迫して人件費が下げにくい状況の今、サービスに適正な価格をつけないと収益は伸び悩み、企業の持続的な成長は難しくなります。

日本企業の生産性向上にはサービス業の収益変革が重要

日本全体に占めるサービス業の割合は、小さくありません。従って日本企業の生産性の向上には、サービス業の収益変革が重要になると思います。サービスの受け手である我々も、人口が減少する中で従来同様のサービスを受けるには、それなりのコストがかかるという発想に転換すべきでしょう。サービス価格の適正化が進めば、デフレの脱却にもつながると考えています。投資信託を通じて日本株に投資することを検討するなら、収益の改善に取り組む企業などに投資するテーマ型ファンドや、企業全体の株価上昇の恩恵が受けられるインデックスファンドなどが選択肢になるでしょう。

株価と名目の国内総生産(GDP)は、連動しているといわれています。企業のモノやサービスの値段が上がらなければ、株価の大きな上昇は期待できません。国が進める賃上げが進み、企業も値上げができ収益として返ってくるという循環が生まれれば、日本株の上昇につながります。18年、19年の春季労使交渉(春闘)で、企業が積極的に賃上げを行うかどうかも、日本株を占う材料の1つになると思います。

ここ数年は、企業の経営者が将来を見通す上で、非常に重要な決定を下す期間だったといえます。しかし、そこがうまくいかなかったため、株価も物価も賃金も大きく上がりませんでした。景気が5年間にわたって回復しているにもかかわらず、成長の実感が乏しいといわれるゆえんです。日本企業は、さらなる変革を行わなければ、世界の中で生き残ることが難しいでしょう。株式市場を通じて投資家の資金が「変革を目指す日本企業」に集まることが重要です。例えば、強いリーダーシップを持った創業社長の企業は、その候補になるのではないでしょうか。個人投資家として、変革する企業を選別する目を養っていただきたいと思います。

 

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