投資信託セレクション

第24回コラム個人の長期資産形成に欠かせない投資信託 マイカーや住宅購入と同じく綿密な計画が大切
 ファイナンシャルプランナー(CFP) 馬養 雅子氏に聞く

少額で国際分散投資が可能 さまざまな運用ニーズに活用できる

個人が長期にわたって資産を形成するうえで、投資信託は欠くことのできないツールです。投資信託は個人では難しい海外の株式や債券にも投資でき、幅広い地域や通貨、資産クラスに国際分散投資することが可能です。1本の投資信託で複数の株式などに投資できるため、個別の株式に比べて一般的にリスクが低いといえます。1万円程度の少額から投資でき、余裕資金の少ない方から豊富に用意できる方まで、さまざまな資産運用のニーズに活用できるのも投資信託の特長です。

国内で販売されている追加型公募投信は5000本以上あり、投資信託を選ぶ方法として、金融機関で人気の商品や新聞・雑誌の情報を参考にする方も多いと思います。ただ、このように「商品」を切り口に選ぶ方法では、必ずしも自身の資産運用に適した投資信託が見つかるとは限りません。まずは何を目的に資産運用を行い、充当できる資金がどれくらいあるのか、長期の資産形成プランを定めることから始めましょう。

今、手元に300万円の現金があるとしましょう。その資金を「5年後の住宅購入の頭金にしたい」「10年後に子供の大学入学資金に充てたい」「老後の資金にしたい」など使途を明確にすると、どのくらいの収益が必要になるかが定まり、それに合わせて株式や債券などの資産カテゴリーを選ぶことができます。若年層の方が20〜30年後の老後資金づくりとして長期に投資するなら、比較的高いリスクを取って高収益を狙うこともできますが、資金の使途が5〜10年先であったりシニア層が老後資金として使う場合は、リスクが低い資産の中から商品を選ぶことが賢明です。

人気順ではなく運用目標で商品を選ぶ 投資信託の比較は運用期間の長さにも注目

投資信託を選ぶとき、若い方によく見られるのは人気ランキングから選ぶケースです。しかし、「売れているから」という理由で安易に選ぶのはお勧めできません。人気が高い商品は相対的に運用成績が良いものが多いのは事実ですが、その商品が運用の目的に合っているかどうかは別問題です。例えば、若い世代なら短期的な値動きが大きくても、長期的に資産の成長が期待できる株式を中心に運用したいところ。債券中心で運用する毎月分配型の投資信託は根強い人気がありますが、若い方の資産形成より、リタイア後にお金を使いながら運用するのに適した商品といえます。

運用目標と資産カテゴリーが定まり、なおかつ商品選びに迷ったら、そこで初めて専門家に相談します。例えば、金融機関の窓口で「日本株のアクティブファンドでパフォーマンスが優れている商品を」と尋ねれば、その条件に見合う商品をいくつか提案してくれるはずです。カテゴリーが決まっていれば、投資信託の販売会社や評価機関のホームページなどから自分で選ぶこともできます。

複数の商品を比較する場合は、過去の運用成績はもちろん、運用期間の長さにも注目します。最低でも3年、できれば10年以上の運用実績がある商品から選びます。昨今は運用の償還時期が決まった投資信託も多いため、自分が必要とする運用期間内に償還を迎えないかどうか確認しましょう。また、純資産総額が年々増加している商品は多くの投資家に支持されているということであり、1つの判断材料となります。このほか、ベンチマーク(運用指標)との比較や、リスクの度合いに対してどれくらいのリターンを上げたかを示す「シャープレシオ」なども参考にします。

長期の保有でリターンが積み上がる商品性 売却のタイミングは「目的が達成されたとき」

投資信託は基本的に分散投資で値動きを抑えているため、短期売買には向いていない金融商品です。基準価額の安い時に購入して高い時に売却するというよりも、長期の保有でリターンを積み上げることを考えて、少なくとも5年程度は保有するつもりで投資しましょう。すでに日本株を保有している方なら先進国の債券と組み合わせるなど、保有資産の投資対象を分散させることも重要です。

株式投資に慣れている方は、投資信託の分散投資は値動きが小さくてつまらないと思われるかもしれません。しかし、資産運用とは本来、何年か先のゴールを目指して利益を少しずつ増やしていくもの。すぐに結果が出るものではありません。分散投資や積立投資でじっくりと資産を育てることを心がけましょう。

最後に考えるのが資産の売却です。売却は投資の目的が達成されたときに行います。購入した投資信託をすべて売却する方も少なくないようですが、投資信託は口数を決めて解約できますので、部分的に売却して現金化することが可能です。その場合は、比較的リスクが高い国内外の株式ファンドから売却し、資産全体のリスクを抑えましょう。

マイカーや住宅購入など大きな買い物は必ずといってよいほど綿密な計画を立てるのに、同じくらいのお金をかける投資には入念な準備がされていないことが多いように思います。運用には設計図が不可欠であり、細かな計画を実現するのに役立つアイテムが投資信託であることを今一度確認してください。

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