

大統領選を控えている米国やフランスを始め、今世界を見渡すと、2012年にトップが交代するかもしれない国が多く存在します。それらの国にとって2011年は次の国家的な戦略を決めにくい年に当たり、少なくとも一足先に政権交代した日本にとっては、海外よりも早く次のトレンドをつくっていくことができる年になるはずでした。
しかし東日本大震災でそれは崩れ去り、海外のトップが変わるかもしれないというシナリオ以外は、すべてを考え直さなければならない状況になりました。日本は今後、どうなるのでしょうか。もう駄目なのでしょうか。
私の考えはまったく逆です。景気も日本株市場も何となく上向くだろうといった曖昧な気分を、何としても日本経済を良くしていかなければならない、という覚悟に変えるきっかけになりました。
例えば、自然エネルギーへの転換の重要性はずっと前から議論されていましたが、思い切って舵を切ることはできませんでした。しかし、今度こそ本腰を入れて長期的なビジョンを示していく必要があります。これからの日本のあるべき姿と成長のシナリオを描いていくのです。それが被災された方々に対して、私たちが果たすべき責任ではないでしょうか。
震災後に非常に印象的だったのは、たくさんの寄付が集まっただけでなく、寄付金がきちんと被災地の復興のために使われているかどうかについて多くの人が関心を持ったことです。これまで銀行に預けていても、投資をしても、自分のお金がその後、どのように生かされているかについては、多くの人が無関心でした。
さらに、多くの企業が復興支援のために寄付だけでなく、自社の商品やサービスを通じて、独自の取り組みを行いました。そうした企業の行動にも個人が興味を持ち、積極的に知ろうとしました。
私たちが新たに獲得した、この「お金の流れを見る目」と「企業を見る目」がもし、日本株投資に生かされたらどうでしょう。これからの日本のあるべき姿と成長のシナリオを実現する大きな原動力になりそうです。
投資ということを考えたら、今こそ私は日本に注目すべきタイミングだと思います。私たち一人ひとりが望むべき未来をイメージし、そのために必要な企業を株式投資を通じて選ぶのです。もし原子力発電に反対する人が多ければ、それに取って代わるエネルギーが必要となりますし、その関連企業は大きく成長するでしょう。電気自動車の普及を望むのであれば、それを実現してくれそうな企業に投資すればいいのです。ひたすら成長を追及する右肩上がりの時代にはあり得なかった選択肢が、今の私たちには与えられているのです。日本株市場にもう一度、目を向けてはどうでしょう。
さらに分散投資を検討するとなると、国内外の株式と債券というのが定石ですが、先進国の株式も債券もパッとしません。そこで新たな受け皿として「通貨」が注目されています。円高傾向にある今、通貨を切り口とした投資は、日本株投資のヘッジ手段としても悪くない選択肢といえます。
もちろん新興国の資産は中長期的には大きな成長が見込めるでしょう。しかし、短期的にはボラティリティーは高く、固有のカントリーリスクも低くはありません。日本株と通貨だけでは飽き足らない、さらなるリターンを求める投資家がポートフォリオの攻めの資産として検討する、という位置付けでいいでしょう。
いずれにせよ、個人が限られた資金の中でこれらの投資対象を有機的に組み合わせるのはとても困難です。だからこそ、投資信託なのです。投資信託なら少額でも分散投資が手軽に実現できます。投資先が分散された投資信託を選ぶことも、自分で投資信託を組み合わせて分散投資することも可能です。さらに、少額での積立も可能です。改めて投資信託の価値が高まっているのではないでしょうか。




