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その男、グランドセイコー「新たな価値を創造するイノベーターたち」

Vol.02 Kuranosuke Sasaki 俳優 佐々木 蔵之介 氏

やると決めたら逃げないそれが一番大切ですね

「世界最高峰の腕時計をつくる」を合言葉に1960年に誕生し、伝統に革新を積み重ねて国内外で高い評価を受けてきたグランドセイコー。2017年、そのグランドセイコーがグローバルブランドとして、さらなる高みを目指し、新たな挑戦に踏み出す。そんな思いとも重なる4名のイノベーターを招いて話を聞くインタビュー企画「新たな価値を創造するイノベーターたち」。第2回のゲストは、創業1893年という、京都洛中に現存する老舗造り酒屋に生まれ、大学の農学部では酒米を専門としてバイオテクノロジーを研究、卒業後はマーケティングのノウハウを学ぶべく広告代理店に就職したという異色の経歴を持つ俳優、佐々木蔵之介さん。

着々と実家の跡を継ぐ準備を進めながらも、運命的に芝居と出会い、勇気ある人生の選択をした千両役者に、自らの原点だという舞台に対する熱い思いを語ってもらった。

佐々木 蔵之介 氏

本場欧州の演出家も驚いた日本の職人の細やかさ

映画、演劇、テレビドラマにと引っ張りだこで、それぞれにバランスよく出演を続ける人気俳優の佐々木蔵之介さん。東京芸術劇場で10月に上演された、シェークスピア作の史劇『リチャード三世』では、世界的に活躍するルーマニア出身の演出家、シルヴィウ・プルカレーテさんが参加、自身は主演として舞台に立った。佐々木さんは、そこで日本の舞台スタッフたちの能力の高さに改めて気づかされたという。

「ヨーロッパ諸国で活躍し、フランス芸術文化勲章シュヴァリエやルーマニアの国家勲章を受けるような大物演出家が『日本のスタッフは本当に素晴らしい』と驚いていました。彼がちょっとしたアイデアを口にしただけで、次の瞬間には、スタッフがその答えを用意する。その対応力の高さに対してです。演出のイメージを正確かつ迅速に実現しようとするあまり、スタッフが具体的な指示を求めすぎてしまい、逆に彼の方がついて行けないという場面もありましたが(笑)」

職人の技術と最先端テクノロジーの融合

佐々木さんが主演した『リチャード三世』(主催・企画制作:東京芸術劇場)の舞台から。撮影:田中亜紀

佐々木さんが主演した『リチャード三世』(主催・企画制作:東京芸術劇場)の舞台から。撮影:田中亜紀

ものづくりに関わる職人たちの意識の高さ、細部へのあくなき追求などは、日本が世界に誇る文化であり国民性だが、最先端のテクノロジーと融合することによって、作品の質はさらに向上しているという。

「例えば、実家がやっている日本酒造りにしても、昔は今のようにお酒の種類が多くなかったし、人の感覚に頼る部分も大きかった。最近は酒造りの技術も格段に進歩しています。一個人の感覚でしかなかったものが、誰もが理解できる客観的なデータに変換され、酒造組合などを通じて、多くの人たちの間で共有できるようになった。東日本大震災もその1つの契機だったのかもしれませんが、匠の技術と先進のテクノロジーとが結びつくことで、日本人がつくるもののクオリティーが飛躍的に向上し、コストパフォーマンスもよくなった。とにかく勤勉、細やかですよね、日本人は」

佐々木 蔵之介 氏

リスクがあっても常に挑戦を続けたい

役者としては、舞台のようなナマものでも、映画のような収録映像でも、作品のクオリティーを高めることを第1に考える。それが自身の哲学だと語る。

「役者は役を演じるだけではいけない。どんな職業にも言えることだと思うのですが、カンパニー(劇団)やチーム内での立ち位置を踏まえて、作品全体が良くなることを第1に考えなければならない。俳優の演技は作品を構成する1つの要素にすぎない。座長、二番手、トメの役など、さまざまな役割があるなかで、責任の大小ではなく、責任の果たし方、それに応じた演じ方が問われます。どのように作品と関わるのか。作品のために、自分はどうあるべきか。そのことは、いつも考えるようにしています」

それでも常に自らを高める努力も欠かさないのが売れっ子たるゆえんだ。

「芝居は決して技術だけではない。感覚、感性など色々な要素が大事ですが、やはり地道に技術を磨いていくことも必要です。そのためには守っているだけでは駄目。リスクがあっても思い切って攻めていく。自信があるわけではないけれど、僕は常にチャレンジャーでいたい。恥をかいてもいいし、負けてもいい。要は負け方なんですよ。精一杯やって負けたのなら仕方ない。やると決めたら逃げない。それが一番大切ですね」

世界に誇る日本の伝統文化の神髄に触れた

俳優・中井貴一さんとのW主演の映画『嘘八百』

俳優・中井貴一さんとのW主演の映画『嘘八百』。空振りばかりの目利きの古物商(中井)と落ちぶれた腕利き陶芸家(佐々木)が、タッグを組んで一攫千金を狙うコメディー。2018年1月5日(金)公開
©2018「嘘八百」製作委員会

さまざまなフィールドで活躍する佐々木さんにとって、ひときわ大きな意味を持つ作品、それが「空ヲ刻ム者」というスーパー歌舞伎の舞台だ。

「市川猿之助さんとのご縁で、スーパー歌舞伎の舞台に立たせていただいた時は、劇場に入る前から本当に怖くて仕方がなかった。実際、今でもあれより苦しい仕事はないだろうと思っています。昼夜2回の公演を約2カ月も続けるという過酷なスケジュールは、それまでは体験したことがなかった。できることなら逃げ出したいくらい。本当につらくて大変でしたが、同時に、宝物のような素晴らしい経験にもなりました」

役者としての成長だけでなく、日本の文化を知るという意味においても大きな意味があったのだという。

「歌舞伎は400年以上続いている日本の伝統文化。その意味が出演させていただいて初めて理解できた。歌舞伎の興行がなぜ現代においても成立するのか。なぜあのような衣装とかつらなのか。美術や演技などあらゆるものが、あの型(かた)によるものなのです。その神髄を見せつけられた気分でした。そんな状況下では、自分の芝居がどうだったかなんて、大した問題ではありません。日本が世界に誇る文化の一端に触れることができた。それだけで、僕にとっては、とても大きな経験だったんです」

膨大な時間をかけて作り上げる舞台という作品

たとえどんなに過酷でも、やはり舞台は佐々木さんにとって特別な存在である。

「正直言って舞台はやりたくない(笑)。それぐらいきついんですよ。でも僕のルーツは大学の演劇サークルなので、舞台という作品を作り上げることは大切にしたい。そこからは逃げちゃいけない。大変だし、非効率だけど(笑)、やり続けなきゃいけないといつも考えています」

そんな自称「舞台ぎらい」は、今でも演劇ユニット「Team申(さる)」を主宰する。自らのルーツであると信じ、学生時代にとりことなった、舞台を作り上げていくことに対する愛着には、ひとかたならぬものがある。

「僕にとっては、どんなにお金をかけることよりも、時間をかけることの方が、はるかにぜいたくです。映画もドラマももちろん好きですが、映像のお仕事だと、現場に『OK』をもらいに行くという面もあります。舞台の場合は、稽古場にダメをもらいに行きます。毎日演じ続けても、千秋楽になっても、決してOKは出ない。良くも悪くも、前を向いて演じ続けるしかない。やっと積み上がったと思ったら、ある日突然、崩れたりする。おかげで、ふいに新しいモノが生まれることもある。その作品や役柄に向き合い、稽古場で、そして劇場でお客様を前にしてなおも作り続ける作品、それが舞台なのだと思います」

まだ芝居を終わらせるわけにはいかない

大学の農学部から広告代理店へ。そして蔵元の跡取りへと一直線に進んでいた人生のレールから、突如、飛び降りて演技の世界に身を投じた。そんな勇気ある自らの決断を「今でも信じられない」と笑ってみせる。

「大学を卒業し、商売に役立つように社会勉強をしてから、家業を継ぐ。そこまではちゃんと戦略的に考えていたんですよ。でも、なぜかなんとなく入った演劇サークルで始めた芝居を終わらせることができなかった。続けたいというよりも、まだ終わらせられないという気持ちが強かった。冷静に考えれば、家業を継ぐべきだったのに(笑)。いまだに、役者を選んだ自分の判断は、はたして正しかったのかと思っています。ひょっとすると今、この歳になっても『(芝居を)終わらせられない』という気持ちが続いているだけなのかもしれないですね。いつも物足りないというか。でも、この物足りなさが解消されることは、この先も絶対にない。それだけは、わかっているんです(笑)」

佐々木 蔵之介 氏 着用モデル グランドセイコー 自動巻スプリングドライブ SBGA211

「中学生になって初めて買った腕時計が、セイコーのストップウォッチ機能付きのもの。ボタンを押した時の手応えが好きで、ずっといじっていました。このグランドセイコーは、ほどよいボリューム感がありますが、チタン製で軽く、何よりも正確であることに日本人の技術力を感じますね。重宝しそうです」

佐々木 蔵之介 氏 着用モデル
グランドセイコー 自動巻スプリングドライブ SBGA211

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次回VOL.03は俳優の永瀬 正敏さんです。

佐々木 蔵之介 氏

Profile

佐々木 蔵之介 (ささき くらのすけ)

神戸大学在学中に劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加し、大学卒業後も広告代理店に勤務する傍ら、舞台にも立ち続ける。2年半ほどで会社を辞めて俳優業に専念し、1998年の退団を機に上京。当初は演劇を中心に活動していたが、2000年、NHKの連続テレビ小説『オードリー』で注目を浴び、『間宮兄弟』(06年)で映画初主演。その後も『アフタースクール』(07年)などの話題作に出演し、時代劇コメディー映画『超高速!参勤交代』(14年)で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞した。テレビでは主演を務めた『ハンチョウ 神南署安積班』が人気を博し、シリーズ化(09~11年)。演劇ユニット「Team申」では自らプロデュースを務め、14年に市川猿之助率いるスーパー歌舞伎II『空ヲ刻ム者 若き仏師の物語』で歌舞伎にも初挑戦。NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』(17年)での好演も記憶に新しい。公開待機作には、俳優・中井貴一さんとのW主演で早くも話題の映画『嘘八百』(18年1月5日公開)がある。

グランドセイコー 革新の歴史 4つのストーリー

2017年に独立ブランドとなった「グランドセイコー」は、
これまでも世界最高峰の腕時計になるべく前例のない革新を遂げてきた。
その挑戦の歴史を「4つのストーリー」から紐解いていく。

Vol. 02【ムーブメント】すべては理想の時計をつくるために。グランドセイコーの独自性

「グランドセイコー SBGR001」(1998年)自動巻メカニカル ※現在は生産終了

「グランドセイコー SBGR001」(1998年)
自動巻メカニカル ※現在は生産終了

グランドセイコーは、3つの基幹ムーブメントをもった稀有なブランドである。一つはクオーツ式、そして機械式、さらにスプリングドライブ式が用意されており、すべてグランドセイコー専用としてモデルのコンセプトや特性に合わせて使い分けている。

グランドセイコーはムーブメントの開発と設計、およびヒゲゼンマイなど基幹部品のほとんどを自社またはグループ企業で調達し、時計の組立、調整、検査、出荷まで行うリアル・マニュファクチュール。世界的に見ても高い技術レベルと独自性を持つブランドだが、現在グランドセイコーに搭載する機械式ムーブメントが生み出されるまでには大変な苦労があった。クオーツの台頭を理由に、1970年代後半からの約20年間、機械式のグランドセイコーの製造は一時途絶えていた。その後の復活にあたっては、グランドセイコーに搭載するにふさわしい精度、頑強さ、美しさを備えた特別な機械式ムーブメントを開発する必要があった。過去の名機をひも解きながら、新たなムーブメントを一から設計。そこに、最新の超精密工作機械を導入し製造することで、これまでにない、グランドセイコー独自のムーブメントが誕生した。

「グランドセイコー SBGA211」(2017年)自動巻スプリングドライブ 620,000円(税別)

「グランドセイコー SBGA211」(2017年)
自動巻スプリングドライブ 620,000円(税別)

完全新設計ムーブメントを搭載した待望の機械式グランドセイコー「SBGR001」は、1998年に発売。そして現在は、ロングパワーリザーブモデルや10振動ハイビートモデルへと進化している。

機械式グランドセイコーの復活の一方で、電池に頼らず自己完結した超高精度時計を作るという夢の実現のために、“機械式ムーブメントをクオーツ回路で制御する”という独創の駆動方式「スプリングドライブ」を開発。2004年に自動巻化に成功し、現在はグランドセイコーの基幹ムーブメントのひとつとして「SBGA211」などに搭載している。

セイコーが徹底的に独自性にこだわるのは、それだけが理想の時計を作る道だからである。

文 篠田哲生 

「世界の審美眼を挑戦する。グランドセイコー」 セイコーウオッチ株式会社

【時計に関するお問い合わせ】グランドセイコー専用ダイヤル
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