企業と投資家・アナリストの「建設的な対話」につなげよう・フェア・ディスクロージャー・ルール

 上場企業の情報開示に関する制度、フェア・ディスクロージャー・ルール(以下、FDルール)が今年4月からスタート。日本の資本市場の発展のため、企業・投資家・アナリストはどうあるべきか、FDルールを考える。

 FDルール講座では、FDルールとは何か、アナリストからみた情報開示の在り方について、野村総合研究所の大崎貞和氏に解説いただいた。

FDルール講座[その1]

フェア・ディスクロージャー・ルールとは フェア・ディスクロージャー・ルールとは

大崎貞和氏の写真

- 回答者 -

野村総合研究所 未来創発センター
主席研究員/東京大学 客員教授
CMA

大崎 貞和

 ——2018年4月に施行される改正金融商品取引法が導入するフェア・ディスクロージャー・ルール(FDルール)とはどのようなものですか?

 上場企業に対して、投資判断に重要な影響を及ぼすような情報(重要情報)を証券会社のアナリストや機関投資家のファンドマネジャー、アナリストといった取引関係者に開示する場合には、その情報を同時に自社のウェブサイトなどで公表するよう求めるルールです。未公表の重要情報をうっかりアナリストなどに開示してしまった場合には、速やかにその情報を公表することが求められます。

 ——FDルール導入の狙いは何でしょうか?

 米国、EUなど諸外国では、2000年代初頭以降、FDルールが制度化されており、日本のルールを国際標準に合わせるという意義があります。また、未公表の重要情報をうっかり開示するというミスを防ぐには情報を早期に開示することが有効です。FDルール導入によって重要情報の早期開示を促すという狙いもあります。

 ——FDルールによる規制の対象となる重要情報とは、どのような情報ですか?

 これまでも上場企業の役員、従業員などの関係者が、自社の株式などの投資判断に著しい影響を及ぼすような未公表の重要事実をその職務に関して知り、自社の株式などを売買する行為は不公正なインサイダー取引として厳しく禁じられてきました。このインサイダー取引規制における重要事実に該当する情報は、全てFDルールでいう重要情報にあたります。

 加えて、インサイダー取引規制では軽微基準に該当するといった理由で直ちに重要事実にあたるとは考えられていなかったような情報も、重要情報として規制の対象となります。

 ——決算発表後に行うアナリストやファンドマネジャー向けの会社説明会で、決算短信に添付した資料以外の資料を配付したり説明を行ったりすることは、FDルール違反なのでしょうか?

 説明や資料の内容に未公表の重要情報が含まれない限り、そのような懸念は不要です。アナリスト向けの会社説明会では、公表済みの決算情報や今期の業績予想について地域別、商品別などで詳細にブレークダウンした情報や利益の要因分解などの分析を開示することがしばしばあります。こうした情報は、それだけで直ちに投資判断に重要な影響を及ぼすものではなく、FDルールの対象となる重要情報にはあたりません。また、説明会での質疑応答で公表資料にはない細かい情報を回答することも、例えば公表した経常利益の予想とは異なる数値を示すなど、公表している全体像を変えてしまうような情報を開示するのでない限り、全く問題ありません。

 ——FDルールに反して未公表の重要情報をアナリストなどに漏らした場合、企業やIR担当者が処罰されるのでしょうか?

 未公表の重要情報を漏らしただけで直ちに処罰されることはありません。速やかに自社ウェブサイトなどでの公表を行えば問題はありませんし、会社が気付かなくても、アナリスト・リポートに重要情報が記載されていることをきっかけに、金融庁による公表指示が行われることも想定されます。その場合、指示に従って速やかな公表を行って下さい。

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