提供:一般社団法人 日本CFA協会

What is the CFA® charter? それは、金融のグローバルスタンダード資格「CFA」

 あなたはCFAを知っているだろうか? 世の中に数ある資格の中で、ひときわ輝きを放つ金融プロフェッショナルの資格。ビジネスのグローバル化が進むなか、この資格取得を目指す金融人が世界で急増している。なぜCFAに注目が集まるのか、CFAは金融の未来に何をもたらすのか。日本のCFAソサエティーをリードする識者、CFAホルダーに話しを聞いた。

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 CFA(Chartered Financial Analyst、CFA協会認定証券アナリスト資格)とは証券分析および運用アドバイスにおいて、専門的な知識基盤を提供する世界標準の資格。1947年設立の米国証券アナリスト協会が認定する専門資格としてスタートした。金融のグローバル化により需要が増大した世界共通の知識基盤を提供するものとして、信認と評価を高めて世界中に拡大している。今や160の国と地域において投資プロフェッショナルのトップライセンスとして普及し、全世界のCFAホルダーは約15万人(※)に増大。ニューヨーク、ロンドン、香港、シンガポールなど世界金融の中心で活躍し、グローバルな人脈づくりを可能にするために不可欠なライセンスといえる。 ※2018年6月現在

[CFA資格取得の条件]レベルⅠからレベルⅢまで3段階の英語による試験(各6時間)に合格しCFAプログラムを完了すること、4年間の適格な投資実務経験を有すること、CFA協会が定める倫理規範と職業行為基準に従う旨を毎年宣誓すること、CFA協会の会員になること
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[Voice 1]CFAがリードする金融の未来 その流れをつかみ、生き残ることができるか

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筑波大学ビジネスサイエンス系 教授
ビジネス科学研究科
国際経営プロフェッショナル専攻 博士

大野 忠士

 世界でCFAが評価されるのは、株価や債券の売り手、買い手が共通の知識基盤によるファンダメンタルな分析を行い、そのやり取りの中で公正価格が形成されるという考え方を普及させているからです。加えてエシックス(倫理)のよりどころとしての信頼もあり、自分で自分を律するフェアな業界と認知されれば、世の中で尊敬され、持続、発展していくことができます。

 グローバルに活躍するためにCFAは必須の資格ですが、国内においてもCFAホルダーが増えれば価格形成はより合理的で納得できるものになり、アナリストの知識とスキルも高められます。日本の銀行や証券会社ではいまだ定型的なルーチンワークが多く見受けられます。しかし今後そうした業務は人工知能(AI)などに置き換わり、人は自分の頭で考えて行動する時代になっていくでしょう。そのときに世界標準のベーシックな知識があり、さまざまなツールを思うままに使いこなせることができれば、正しく分析して方向性を打ち出し、市場の動きに的確に反応できるようになります。日本でもCFAの影響力が高まり、金融界の業務や文化も変わっていくことを期待したいと思います。

CFA協会リサーチチャレンジの様子。国内大会優勝の筑波大学大学院チームの写真と、アジア太平洋地区大会の写真

 CFAは「CFA協会リサーチチャレンジ」により学生にとっても身近な存在となってきています。1チーム5人で構成し、企業分析の課題に対し、英語によるプレゼンテーションと質疑応答のレベルを競います。私の指導する筑波大学大学院チームもこれまで8回参加し、国内予選で3回優勝しています。日本代表として出場した今年4月のアジア太平洋地区大会では日本勢初の決勝進出を達成しアジアのトップレベルに並びました。CFA協会リサーチチャレンジだけでなく、CFAの資格取得でもアジアの勢いは止まりません。CFAがリードする金融の未来。その流れを捉えて生き残れるかどうか、我々の覚悟が問われています。

[Voice 2]CFAホルダーの声

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学生時代にCFA協会リサーチチャレンジ体験、受験スタート
 CFAホルダーの称号を手にファンドマネジャーの夢へ

大和住銀投信投資顧問
 企業調査部

小松 将大
 2017年試験合格 ※19年4月CFA取得予定

──学生時代に経験したCFA協会リサーチチャレンジについてお聞かせください

 大学のゼミで「CFA協会リサーチチャレンジ」(※)の存在を知り、私も仲間とチームをつくって出場しました。残念ながら優勝はかなわなかったものの、高い評価を受けて課題企業賞をいただきました。非常にハイレベルな課題に対し全力でリサーチや分析、リポート作成、最終審査のプレゼンテーションに没頭する中で仕事の面白さに魅了され、「将来はこの道に進みたい」と決意。人生で忘れられない体験となりました。

──CFAの受験を決めた理由、合格に至る経緯は

 CFA協会リサーチチャレンジを体験し人生で目指すコースを決めた以上、ぜひ早めに受験したいと考えました。CFAは世界で通用するチャレンジングな位置付けの資格で、試験の難しさも格別です。すぐに準備を始めて大学院在学中にレベルⅠに合格、その後株式アナリストとして実務を経験しながらレベルⅡ、レベルⅢと順次合格。時間に余裕のある学生時代に挑戦を始めたのが大きなアドバンテージになったと思います。

──CFAと歩んだこれまでの期間、どんなメリットを得られましたか

 就職では投信投資顧問業界に絞って活動しましたが、CFA協会リサーチチャレンジの体験や作成したリポートを紹介すると「学生のうちにここまでやれるようになっているのか!」と高い評価を受け、若手のうちから運用部門に配属してくれる希望の会社に入社し、株式分析の業務に就くことができました。実務ではどうしても担当企業に集中し視野が狭くなりがちですが、受験の過程で債券投資やポートフォリオ管理なども含む幅広い知識を学んでいたため、より俯瞰(ふかん)的な視点をもつ心がけと、広い分析に必要な道具を手に入れることができたと思います。

──今後の抱負をお聞かせください

 あと1年で「4年以上の実務経験」というCFAホルダーの条件を満たします。国内でのCFA取得者は年々その数を増やしていますが、世界ではステータスの高さで有名な存在で、名刺に「CFA」と記載できる日を楽しみにしています。また、これまで日本株運用に株式アナリストとして関わってきましたが、将来的にはファンドマネジャーとして実際の売買や運用に携わりたいと考えています。良いパフォーマンスをあげて投資家や業界に貢献し、いずれは世界の舞台で活躍できるように研さんを重ねていきたいです。

※CFA協会リサーチチャレンジ/世界の大学生・大学院生を対象とし、1チーム5人で企業分析を競う。課題企業の調査リポート作成、プレゼンテーション、質疑応答などを英語で行う。各国の国内予選を勝ち抜いたチームが世界地区予選、世界大会へと駒を進めNO.1を決める。2017年の日本国内予選には東大、京大、一橋大、名古屋大、筑波大大学院、東工大、首都大学東京、早稲田大、早稲田大大学院、慶應大、青山学院大、立命館アジア太平洋大、中央大、創価大、同志社大から史上最多の18チームが参加。年々高まる盛り上がりを見せている。

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受験で金融の業務知識を体系的かつ具体的に理解
 「CFA」が記載された名刺の威力も実感

野村アセットマネジメント
 運用部 シニア・プロダクト・マネージャー

長尾 智史
 2017年CFA取得

──CFAを目指したきっかけと目的は

 以前から関心はあったのですが相当ハードルの高い資格なので躊躇(ちゅうちょ)していました。しかし海外留学をきっかけに意欲が高まりCFAへの挑戦を決意しました。それまで10年にわたる運用調査の実務経験があり、受験を通して改めて金融知識を体系的に整理したいという思いもありました。

──合格までの経過はいかがでしたか

 レベルⅠの難易度は低く、留学前の数カ月間の準備で受験し2015年に合格しました。レベルⅡの難易度は全レベル中最高だったものの、留学先の授業内容とオーバーラップしていたこともあり、十分な下準備をして試験に臨み16年に合格。レベルⅢの準備をしたのは本国帰任後で仕事量がピークに達している時期に当たり、準備不足を感じながら試験に臨みましたが17年に合格しました。ゴールデンウイーク中も勉強に没頭したのを覚えています。

──CFA受験でどのようなメリットがありましたか

 金融の業務知識を体系的かつ具体的に理解できたことです。例えばクオンツ分析ですが、相関係数の問題点や修正方法など、普段当たり前に目にするデータや指標を批判的に捉えることができるようになりました。また、デリバティブの金利スワップ取引についても実務レベルで知ってはいましたが、含み損益計算を自らの手で行うなど、具体的な理解が進んだと思います。

──CFAホルダーになって何が変わりましたか

 仕事柄、海外の機関投資家を訪問することがよくありますが、「CFA」が記載された名刺を渡すと相手の私を見る目が変わったように思います。グローバルで認知されている資格だからこその効果でしょうか。また、社外のみならず、社内からの信頼も高まったように感じています。CFAホルダー同士のネットワーキングの機会も増えました。同じ資産運用業界で他社の優秀な方々をはじめ、非運用業界の方々との交流にも大きな価値を感じています。ハードルの高い試験を乗り切った強い同志意識で結ばれているソサエティーだと思います。

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会計士からアドバイザリー、そして投資ファンド会社へ
 広がるキャリアチェンジの選択肢

投資ファンド会社
 ディレクター

須田 元雄
 2011年CFA取得

──CFAを知ったきっかけは

 会計士試験に合格後、国内の監査法人で会計士として会計監査の業務に従事していました。仕事にも慣れ、もっと視野を広げて海外も含めた新たな知識に触れたいと思っていた時、金融界のグローバルスタンダード資格であるCFAの存在を知り、勉強を始めました。

──受験準備にはどのように取り組みましたか

 会計士としての仕事をしながらの受験準備で、独学だけではうまくいかないと感じることがありました。調べてみると、同じCFA資格の取得を目指す受験者が集まる勉強会があることを知り、この集まりに参加することで試験勉強に励むことができました。初めて接するグローバルな金融知識は面白くて学びがいがあり、受験勉強そのものを楽しんでいるうちに、勤務している監査法人のニューヨーク拠点への異動が決まりました。

──英語圏での勤務と受験準備はいかがでしたか

 金融人が集まり、CFAホルダーも数多くいるニューヨークは、いい刺激を受けることができる恵まれた環境だったと思います。日々、会計監査業務に従事しながらコツコツと受験勉強を続け、レベルⅢに合格しました。CFAの試験は世界各国で受けられますから、海外勤務中であっても受験にはまったく問題ありませんでした。

──CFA取得で業務に向かう姿勢、生き方は変わりましたか

 CFAホルダーとして東京拠点に帰任後、会計実務に加えてCFA取得で得た知識も生かすべく、事業会社向けのアドバイザリー業務に従事し、日本全国で業務を行うようになりました。数年間、同監査法人で忙しくしているうちに投資ファンド会社からのオファーを受け、新たなフィールドでの挑戦を決意しました。現在は投資や構造改革の担当者として、再び日本全国で仕事をしています。CFAは私のキャリアを大きく変えるインパクトをもたらしたと思います。

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グローバルチームの一員として必須のライセンス
 CFA取得で即座に昇進、ミッションも拡大し充実の日々

フィナンシャル・アドバイザリー会社(現在 大学院在学)
 ディレクター

曹 珊珊
 2012年CFA取得

──CFAをいつ知りましたか。挑戦を決意したきっかけは

 学生時代にCFAプログラムを初めて知り、当時からCFAの資格を取得すれば、素晴らしい将来性が期待できると思っていました。大学卒業後は、国際的なフィナンシャル・アドバイザリー会社の北京支社で海外上場を目指している企業やベンチャーキャピタル、世界大手のプライベートエクイティファンドなどに、さまざまな株式価値分析、M&Aの検討支援、事業ポートフォリオ価値評価サービスを提供するなどグローバル・チームの一員として多忙な数年間を過ごしていました。ある日会社と顧客の両方からさらに信頼を得るためには、世界に通用する金融資格を持つことが必要であることに気づきました。それからすぐに私は世界的で最も認知度の高い金融プロフェッショナル資格であるCFAの試験に挑戦することを決めました。

──CFAの受験でどんなメリットが得られましたか

 CFA試験のために勉強して得た知識は日常業務に非常に役立ち、金融モデリング技術の向上や他の専門家などとの協力構築にもとても役立ちました。CFA協会が主催する継続的な教育セミナーやネットワーキングイベントに積極的に参加して、最新の専門知識や先端の情報、さらには貴重な人脈も得ることができました。

──学生時代からの目標だったCFA、これまでの努力は報われましたか

 はい、努力は驚くほど報われたと思います。会社では即座に昇進できましたし、プロジェクトの実行からプロジェクト管理、さらに顧客関係とさまざまなマーケティング活動も担当するなど、新たなキャリア・デベロップメントによって、充実した日々を送ることができました。それにも増して、CFA資格を取得できた達成感は何よりも大きな自信になりました。その後の人生において新たなチャンスとチャレンジに直面したときに、より勇気を持って積極的に行動できるようになったと感じています。私は今、日本の大学院で勉強に励んでいて、また新しいキャリア・デベロップメントに向かって挑戦を続けています。

──女性のCFAホルダーとしてメッセージをお願いします

 若い女性のみなさん、日本では女性のCFAホルダーの数がまだ少ないことをご存じですか。若い女性が専門資格を持ち金融界で活躍することは、社会に驚きを与え、あなた自身にも大きな喜びをもたらします。社会の中でみなさんがさらに重要な存在になれば本当に素晴らしいですね。

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ゴールを目指すために費用対効果の高い試験
 国内外の素晴らしいプロフェッショナルと人脈も形成

ニッセイアセットマネジメント
 チーフ・ポートフォリオ・マネジャー

佐藤 吉正
 2015年CFA取得

──キャリアの中でどのような問題意識をお持ちでしたか

 私は大学・大学院で工学を学んだ後、投資銀行のエクイティ・トレーディングデスクのファイナンシャルエンジニアとしてキャリアをスタートしました。その後、アセットマネジメント業界に移り、株式ポートフォリオマネジメントの仕事を始めました。その時に思ったのは、投資運用に関して系統的な知識を身に付けるべきであること、またそうした知識は業務を行うだけでは身に付かない、ということでした。

──系統的な知識を身に付けるために、なぜCFAを選んだのですか

 CFA試験のテキストや問題は非常に良く構成されていて、私自身のゴールを目指すためにはとても費用対効果の高いものだと気づいたのが試験に取り組むきっかけです。すでに日本の証券アナリスト資格は持っていましたが、国際的な会計基準、より広範囲の金融商品、倫理規範、その他の近年のトピックを英語で学ぶことにも魅力を感じました。試験勉強と仕事を両立させることは大変でしたが、諦めるつもりは一切ありませんでしたので何とか3つのレベルをすべてパスすることができました。

──CFA協会の活動について感想をお聞かせください

 合格する前から関与してきた CFA Society Japanの活動を通じて、国内外の多くの素晴らしいプロフェッショナルと知り合うことができました。また、度々開催されるセミナーで新しく複雑な問題を学んだり、CFA協会リサーチチャレンジのようなイベントを通じて意欲ある学生の方たちと知り合ったりするなど、ボランティアとして私たちのソサエティーを豊かにするための活動に従事できることも大きな喜びです。より多くの方々がこのような活動に参加し、それぞれが思い描く自身のキャリアゴールを追求するための機会をつかんでいただきたいと思います。

──CFA取得後のキャリアと今後の抱負を

 さまざまな投資アプローチ、複数の資産クラス、最近の人工知能を含むテクノロジー、海外チームとの協業、といったこれまで得た多様な知識・経験・スキルを生かし、現在はマルチアセットのリスクプレミア投資戦略開発を主導できるようになりました。CFA試験に向けての努力、そして多くの方々の助けがなければ、このようなキャリアを形成することはできなかったと思います。これからも仕事とCFA Society Japanの活動を中心に、さらなる努力を続けていきたいと考えています。

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INFORMATION

ジャパン・インベストメント・カンファレンス 2018

グローバル・アセットオーナー・シリーズ
インベストメント・チェーンにおけるアセットオーナー2.0

 純粋に運用に焦点を当て、内外の大規模なアセットオーナーをスピーカーに迎え「低金利下の運用環境における新たな運用対象・ポートフォリオ管理・リスクへの備え」をテーマに『グローバル・アセットオーナー・シリーズ』と題したカンファレンスを開催いたします。


日時
2018年18日(水)
10:00~17:50[9:30開場]
会場
東京コンベンションホール

盛況のうちに終了することができました。
お忙しい中ご来場いただきました皆様ありがとうございました。

NEWS

プロフェッショナル会員を創設しました

プロフェッショナルな資格を有する方(日本証券アナリスト協会検定会員(CMA®))を日本CFA協会の会員としてお招きする会員制度が新設されました。詳しくは協会ホームページをご覧ください。

https://www.cfasociety.org/japan/