メジャーリーグで大活躍する大谷翔平選手が、花巻東高校1年の時に作った、いわゆる「大谷マンダラ」をご存じだろうか? これは中心に第一の目標(「ドラフト1位、8球団」)を置き、目標達成に必要なことを8つ、そして、それら達成に必要な具体的行動を64個のマスを使ってぎっしりと書き込んだ、1枚のシートだ。
このシートは正式名称を「オープンウィンドウ64」という。大谷選手が自分で考え出したものではない。本書『最高の教師がマンガで教える 目標達成のルール』の著者、原田隆史氏が考案した目標管理手法「原田メソッド」に含まれるツールの1つなのだ。
原田メソッドは、原田氏が中学教師時代に生徒たちの夢や目標に向き合い、さらに研究を重ねて体系化した「正しい目標達成の方法」だ。原田氏が大阪市立松虫中学校の陸上競技部を13回の日本一に導いたことなどから評判になり、トップクラスのアスリートやスポーツチーム、さらにはビジネスでも活用できるため、大企業の研修などでも活用されている。
原田メソッドのエッセンスを紹介する本書は、マンガと、文章による解説で構成されている。マンガは、イベント運営会社に勤務する3年目社員の「ちひろ」の目標達成を、「ニャーラ」という猫の姿をした守り神がサポートするストーリー。ニャーラは著者の「見習い中の弟子」として、原田メソッドをレクチャーする役割を担う。
原田メソッドの中心は「心づくり」だという。スポーツや武道では「心・技・体」のバランスが大事とよく言われるが、その中でも「心」、すなわちメンタル面に焦点が当てられているということだ。
まずは目的・目標を明確にし、文字にして書く。その際に、以下の4つの観点で考えるのが重要なのだそうだ。
(1)自分・有形(自分自身の「目に見えるもの」:「給料アップ」「売上目標」など)
(2)自分・無形(自分自身の感情:「誇り」「達成感」など)
(3)社会他者・有形(誰かの「目に見えるもの」:「お客様に良い商品を提供」など)
(4)社会他者・無形(誰かの感情:「家族が安心する」「業界が元気になる」など)
例えば(1)に(4)を組み合わせると、力強い目的・目標となる。例えば元なでしこジャパンの澤穂希氏は2011年ワールドカップ(W杯)の目標を聞かれ、(1)にあたる「優勝」と答えた。また同時に「被災者や国民に勇気と元気を与えるため」と、(4)を目的として語っている。
目標達成にあたっては、まず4つの観点をバランスよく考えるのが重要ということだ。本書を参考に、ぜひペンを片手に原田メソッドを実践してみてほしい。