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日本経済新聞電子版 N-BRAND STUDIO

デジタルマーケティングフォーラム(2016年11月29日開催)

講演「ブランディング観点からのコンテンツマーケティング」

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安岡久美子氏(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 個人事業部門 マーケティング 副社長)

「共感」からブランドリフトを狙ったアメリカン・エキスプレスのコンテンツマーケティング

消費者を取り巻く環境や価値観が変わり、消費行動も変化している。その中で、ブランドは消費者とどのようにエンゲージメントを高め、最適なコミュニケーションを設計していけばよいか。日経電子版を活用し、新たなブランド広告キャンペーンとコンテンツマーケティングを展開したアメリカン・エキスプレス(アメックス)の取り組みについて、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 個人事業部門 マーケティング 副社長の安岡久美子氏が語った。

富裕層向け高級カードから「幅広いライフスタイルを提案するカード」への転換を図る

 アメックスは、日経電子版を使って、新たなブランド広告キャンペーンとコンテンツマーケティングを展開した。安岡氏は、その理由として「消費者の購買行動が変わり、我々のブランドメッセージも時代とともに変えていくべきタイミングだった」と語る。

 アメックスは1850年創業、貨物輸送の会社からスタートし、時代とともにクレジットカードへと業態を変えてきた。2017年は日本支社創業100周年にあたる。そんな中、2016年9月より「世界で最も尊敬され、求められるサービスブランドになる」というブランドビジョンを具現化するために始まったのが、「Realise the Potential(リアライズ・ザ・ポテンシャル)」キャンペーンだ。

 キャンペーンにあたり、まず取り組んだのがターゲット層の再定義だ。安岡氏は「ターゲット層の価値観は変わっている」と述べた。たとえば、従来のような会社中心の価値観から、会社以外のコミュニティ活動にも積極的に取り組むよう変わってきた。

 また、消費行動は伝統や慣習、権威を重んじる傾向から、個人のライフスタイルにより重きを置き、家族を大事にする傾向が強まっている。20数年前は海外旅行が「夢」だったものが、今は海外と国内の間に存在していた壁がなくなっている。

 こうしたターゲット層を取り巻く環境や価値観の変化に伴い、アメックスのブランドイメージも、従来捉えられてきた「『高級品を決済する時だけに使うカード』というイメージから、『日常の幅広いライフスタイルを提案する存在』へと変えていく必要があった」ということだ。

消費を牽引する「ネオ・ポテンシャリスト」
信頼・安心といった従来のブランドイメージに加え、
身近な存在、寛容さといったイメージを訴求する必要があった

 そこで、同社が定義したターゲット層が「ネオ・ポテンシャリスト」だ。消費や働き方に対する意識が高く、日々の生活を充実させることに積極的な「ポテンシャリスト」=「可能性を広げようとしている人」が、新たな考え方で消費を牽引していくとのメッセージを込めた。

 ブランド広告キャンペーンで重視したのは「レレバンシー(Relevancy)の向上」だ。訴求内容がターゲット層の興味、関心にどれだけ関連するかをテーマに、「アメックスがいかにして生活の一部(欠かせない存在)となるか」というブランド認知と共感を作り出すことを主軸に置いた。

 「Realise the Potential」をキーメッセージに、TVCMを関東エリアで放映。TVCMのナレーションには、ネオ・ポテンシャリストの代表例として歌舞伎俳優・市川海老蔵氏を起用した。そのほかにも、日本経済新聞紙面広告、電車内広告など活用したキャンペーンなどを展開した。

「NIKKEI STYLEトラベルチャネル」では「共感」を呼ぶコンテンツマーケティングを

NIKKEI STYLE トラベルチャンネル
NIKKEI STYLE トラベルチャンネル

 マス媒体を中心に展開したブランド広告と同時に取り組んだのが、デジタル媒体を活用したコンテンツマーケティングだ。具体的には「NIKKEI STYLE」の「トラベルチャネル」をスポンサード。アメックスと親和性の高い「旅」のコンテンツを配信。ターゲット層に共感を届けることでブランドリフト効果を狙った。

 たとえば、コンテンツと関連性を持たせたネイティブ広告の展開だ。途上国の給食支援に関する国際貢献活動「TABLE FOR TWO」を推進するNPO法人「TABLE FOR TWO International」代表理事の木暮真久氏へのインタビューを通して、木暮氏のオンとオフのライフスタイルを紹介するなど、読み手の共感を促すネイティブ広告を掲載した。

 安岡氏は、「新社会人」「結婚」「家族旅行」など、ライフステージにおけるカード利用のきっかけ=「トリガー」と、「ブランドの認識レベル」「ブランドとのタッチポイント」を分析、コミュニケーション設計を行った。

 お客様がカード入会に至るまでには「プレ・トリガー」「はじめの検討」「能動的な評価」「購入」というライフステージごとに、消費者とブランドとの間にどのようなタッチポイントがあり、どのようなコミュニケーションを行うべきかを可視化、購入意思決定に導くことが大切と考えている。

 デジタルおけるカード会員の獲得施策は、直接的には検索などでブランドサイトに訪問したユーザーに対してリターゲティングを行い、「プッシュ型」で促進していくやり方が一般的。一方、コンテンツマーケティングなどの「プル型」の施策は、「もう少し引いた立ち位置」と捉えており、今後はプッシュとプルをどう連携させていくかが課題だ。

 安岡氏は、「『NIKKEI STYLE』におけるコンテンツマーケティングはプルな取り組み。トラベルのインスピレーションをかきたて、カード利用につなげていく大きな役割を期待している」と締めくくった。





安岡久美子(やすおか・くみこ)氏
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 個人事業部門 マーケティング 副社長

安岡久美子(やすおか・くみこ)氏

1990年、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.入社。カード営業、グアム、サイパンなどの旅行代理店業務管理、加盟店営業、マーケティング、システム管理などを経験し、2001年に、個人カード事業部門に異動。オンライン・マーケティングのマネージャーとして、ウェブサイトや携帯公式サイトを立ち上げ、また、新規開発プロジェクトを多数手がける。ANA アメリカン・エキスプレス・カードの開発においては、オンラインでのカード獲得を大 きく成長させる。2011年8月より現職に就任し、デジタル・マーケティング、ポイント・プログラム、新規商品開発、イベント運営など個人カード会員を対象とした幅広いマーケティング活動の指揮を執っている。