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媒体説明会(2016年6月開催)

2016年6月29日に行われた媒体説明会での講演内容をお伝えします。

パネル討論1「プレミアムメディアを活用したデジタルマーケティング戦略」東海林直子氏(NEC CRM 本部シニアマネージャー)

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NEC東海林氏:デジタル時代のマーケターは、「Orchestration」力が不可欠

デジタル化の波は、生活者の情報取得スタイルを変化させ、企業はデジタルを通じ、様々な顧客データを取得できるようになった。Webを通じたBtoBマーケティングの先端的な取り組みを続けるNEC。同社のデジタルマーケティング戦略のキーマンであるCRM本部 シニアマネージャーの東海林 直子氏が、デジタル時代にマーケターに求められる資質や役割の変化、マーケティングにITを活用することの重要性について語った。

オウンドメディアの草分け的存在、NECのビジネス情報サイト「WISDOM」は会員数76万人に成長

 NECのマーケティング体制は非常にユニークだ。マーケティングからフィールドセールスにより確度の高い見込客(リード)をパスするために、両者の間に「インサイドセールス」機能を置き、テレマーケティングやテレセールスがリードとコンタクトを取って、意向を聞くなどの"クオリファイ"に取り組んでいる。

 このインサイドセールスを含めた「デマンドジェネレーション」(商談機会の創出)が東海林氏のミッションだ。CRM本部では、NECと顧客との「対面以外」の接触機会である企業サイトや宣伝広告、セミナー、イベント、テレセールスなどのすべてを統括している。

 具体的な取り組みの1つとしては、2004年から運営しているオウンドメディア「WISDOM」がある。BtoB向けのオウンドメディアの草分け的存在として、現在では76万人の会員を擁するまでに成長し、東海林氏によれば「普段、NECがお付き合いできないような顧客ともつながる機能」を果たしているという。

 NECでは、このWISDOMを起点とし、2009年ごろから、テレマーケティングやリードナーチャリング機能の強化に取り組み、2012年にはSFAと連携し、フィールドセールスに引き渡したリードの案件化のトレースに、2014年ころよりマーケティングオートメーションツールを活用したデジタルマーケティングの強化に取り組んでいる。

企業単位で顧客を見る「アカウントベースドマーケティング」にもIT活用の意義

 デジタル化により、企業と顧客との接触機会は多様化した。これは言い換えれば、「ブランドとどこで接触するか」を顧客が選ぶ時代であるということだ。オウンドメディアを10年以上運営した経験から、東海林氏は「オウンドメディアだけでは顧客にメッセージを伝えきれない」ことを感じているという。

 一方で、自社の顧客データと、さまざまなメディアが保有する顧客データを同じように扱うことが可能になってきており、「そこをシームレスに連携させる点に、企業がマーケティングにITを活用する意義がある」と東海林氏は語る。

 また、BtoBマーケティングの特性として、顧客一人ひとりを見ていても、顧客企業全体の考えを可視化できない点がある。東海林氏は、NECのデジタルマーケティングの取り組みについて、「オウンドメディアが取得した情報だけでなく、フィールドセールスが保有する情報、または、外部のメディアが保有する情報まですべてを統合して『顧客の全体像』を明らかにする取り組み」と位置づけた。

 このように、企業単位で顧客を見て、顧客の個別の要請に対応していく「アカウントベースドマーケティング」にNECではより注力していくという。顧客企業単位で情報を統合していくことの重要性は、「マーケティングが保有する情報や、SNSで公開している情報などを全部つなぎ合わせることで、セールスが新たな顧客アプローチのシナリオを確立する点でも効果が期待できる」と東海林氏は指摘する。

プレミアム層にリーチした日経電子版を活用した取り組み

 自社の顧客データと、外部メディアが保有する顧客データをシームレスに連携させるキャンペーンの一例として、東海林氏は日経電子版を活用した「BIGDATA(AI)×マーケティング」キャンペーンを示した。

 キャンペーンの全体像はこうだ。日経電子版にBIGDATA(AI)のマーケティング活用に関するコンテンツを掲載し、記事を読んだ顧客の情報は、日経DMPからNECのCRMに登録される。

 NECから、BIGDATA(AI)をテーマにしたメルマガを月1回配信し、マーケティング活用に興味を示した読者には、その分野に特化したメルマガを継続配信。得られた顧客データを分析、リードスコアリングを行い、ホットリードを抽出した。

 そして、ホットリードに対してテレマーケティングによるクオリファイを行い、フィールドセールスやセミナー送客に繋げていくというものだ。

 「テレマーケティングによるコンタクトの結果、スコアリングがあっていないときは、ロジックを変えて再度抽出を行うなどの改善を行い、最終的な案件化の確率を高めるPDCAサイクルを回すことをしている」と東海林氏は語る。テレマーケティングの「コンタクト率(電話がつながる確率)」は通常は約5割程度だが、ナーチャリングされたリードでは約9割近くまで上がっている。

 東海林氏は、「日経電子版に接する顧客は、個人として情報に触れており、それが、どこかのタイミングで企業としての購買タイミングに移行する。そのタイミングの見極めが重要」と総括した。

 NECは2016年3月から日経電子版で、「LEADERS VISION」というNECポータルを立ち上げ、経営層を中心としたエグゼクティブ層への情報発信を続けている。従来のペイドメディアの役割は、ブランドの認知と、興味を持ったリードをオウンドメディアに誘導することにあった。

 この点について東海林氏は、「日経電子版の中である程度、ナーチャリングまで行えるのが、従来のペイドメディアと異なる特徴」と語った。




「データを統合して見ていく力」がマーケターには求められている

 今回、日経電子版を活用したキャンペーンの経験から、東海林氏は得られたポイントを2つ挙げた。

 1つ目は、獲得できたリードは、NECのオーガニックのリストにいないプレミアム層が「8割近くを占めた」という点だ。東海林氏は、これまで接触できなかった層とのコミュニケーションが取れた点に価値を感じている。

 2つ目は、ターゲット顧客に届けるためのコンテンツ、クリエイティブ、誘導プランのPDCAをさらに高速化したいという課題だ。そのために、あらゆる顧客接点をトータルに見ていくなかで、施策にどんな効果、価値があるかという視点での提案を、メディアである日経には期待したいとのことだ。



 デジタルマーケティング、すなわち、データを活用したマーケティングに取り組むようになって、東海林氏が最も変化を感じるのは、「企業が取得できるデータが増えた」ことだ。

 以前は、自社のサイトに来訪し、何らかのコンバージョンをした顧客のデータしか取得できなかったものの、今では、オウンドメディアだけでなく、ペイド、アーンドとトリプルメディアでシームレスにデータが取得できる。

 データが増えることで、マーケターには、「データを統合して見ていく力」が求められてくる。デジタル化によってマーケティング機能が細分化する中で、マーケティングとセールスを「分断」させないよう、統合、オーケストレーションしていく視点、役割がより重要となってくるのだ。

 最後に、東海林氏は「BtoBビジネスは、お客様の数にも限りがある。その意味からも、一度、お客様になった企業とのパートナーシップを強化するために、ブランディングからCSまで、一貫してNECの経営メッセージを伝えていきたい」と締めくくった。